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「離檀料」トラブルを円満に解決するために

2026.01.28「離檀料」トラブルを円満に解決するために

変わりゆく時代の中での「墓じまい」

「何代にもわたってお付き合いがあり、先祖代々のご遺骨をお守りしてきた檀信徒様から、突然『墓じまいをして離檀したい』と告げられた……」

近年、ライフスタイルの変化や地方の過疎化、お墓に対する意識の変容により、このようなご相談が後を絶ちません。

長年、苦楽を共にしてきた檀信徒様との別れは、住職様にとって寂寥感を覚えるものであると同時に、寺院の維持管理という現実的な懸念をもたらすものです。

その際、解決を難しくさせる大きな要因となるのが「離檀料(りだんりょう)」を巡る問題です。

住職様としては、これまでお寺を支えていただいた感謝と、今後の維持管理への懸念からお話しされたことが、檀信徒様側には「高額な請求をされた」とネガティブに受け取られ、インターネットやSNSで不本意な形で拡散されてしまう危険性もあるところです。

今回は、離檀料を巡るトラブルを回避し、お寺の平穏を守るために知っておくべき法的な考え方と、円満解決のポイントを解説します。

「離檀料」の法的な性質とは?

実は、日本の法律において「離檀料」という名目の金銭支払いを義務付ける明文規定は存在しません。

法的な視点から見ると、離檀時に寺院が受け取る金銭は、一般的に以下のいずれかとみることができます。

お布施(寄附金):
離檀に際し、これまでの感謝のしるし(お寺の発展への寄与)として檀信徒様が自発的に差し出すものです。

未納管理料等の精算:
過去に滞納されている護持会費や、墓地管理料の未払い分です(これは法的に請求権がある債務です。)。

原状回復費用等:
墓石を撤去し更地にするための工事費用や、事務手続きの実費を指します。

注意すべき裁判例の傾向

過去の裁判例では、お寺側が数百万円といった高額な離檀料を「離檀の条件」として一方的に請求し、「支払わない限り改葬許可申請書に署名捺印しない(お骨の移動を認めない)」といった対応をした場合に、公序良俗に反するとして無効と判断されることがあります。

そればかりか、不法行為として損害賠償請求の対象となる可能性もあります。
「正当な権利」として強く主張しすぎると、かえって法的に不利な立場に置かれる可能性がある点に注意が必要です。

なぜ「感情的な対立」が泥沼化するのか

離檀トラブルの多くは、単なる金額の問題ではなく、「言葉足らずによる感情のすれ違い」から始まります。

双方の心理的なギャップ

住職様側の想い:
「お寺の維持(護持)には多額の費用がかかることを理解してほしい」という切実な願いがあります。

檀信徒様側の心理:
「経済的に苦しいから墓じまいを選んだのに、最後にお金を要求されるのか」という被害者意識が生まれることがあります。

一度感情がこじれると、お互いに直接対話することが困難になり、結果として「離檀料の相場」といったネット上の不確かな情報に振り回され、対立が深刻化していくのです。

トラブルを未然に防ぐ「墓地使用規程(規則)」の整備

こうしたトラブルを未然に防ぐための最も有効な法的手法は、「墓地使用規程(規則)」を現代の状況に合わせて見直しておくことです。

あらかじめルールが明文化されており、檀信徒様に周知されていれば、「住職がその場で思いついた金額を言っている」という不信感を取り除くことができます。
見直しのポイントは以下のとおりです。

項目 具体的な内容の例
離檀の手続き 解約の予告期間や、書面での届出義務を明確にする。
費用の負担区分 墓石の撤去・処分費用(原状回復)は使用者の負担であることを明記する。
金銭に関する規定 「離檀料」という言葉を避け、未納の護持会費がある場合の精算条項や、事務手続きの実費としての「事務手数料」など、合理的かつ明確な基準を定めておく。

弁護士が介入するメリット

もし、すでに檀信徒様との間で話し合いが停滞し、ストレスを感じておられるのであれば、早めに弁護士にご相談ください。
弁護士が入ることには、主に3つのメリットがあります。

①冷静な第三者としての交渉:
住職様の代わりに弁護士が窓口となることで、感情的なぶつかり合いを避け、法的な根拠(未納管理料の回収など)に基づいた論理的な対話が可能になります。

②お寺のレピュテーション(評判)保護:
ネット上の書き込みや風評被害を抑え、お寺の格式や名誉を傷つけない形での着地点を探ります。

③書面による確実な解決:
合意した内容を「合意書」として書面に残すことで、将来的な追加請求や再度のトラブル(「言った言わない」の水掛け論)の発生を防ぎます。

感謝で終えられるお別れのために

お寺は、地域の方々の心の拠り所であり、何世代にもわたる記憶が刻まれた場所です。
離檀という形でお別れすることになっても、最後は「これまでありがとうございました」と互いに感謝して終えられるのが、お寺にとっても檀信徒様にとっても最善の形ではないでしょうか。

帆風法律事務所では、単に法律を振りかざすのではなく、お寺の歴史と住職様の想いを尊重し、再びお寺に平穏な日常が戻るようサポートいたします。
少しでも不安を感じられたら、一人で悩まずに、まずは当事務所までお気軽にご相談ください。


【ご注意事項】

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別具体的な事案については、その背景や事実関係によって法的判断が異なります。実際の問題解決にあたっては、必ず専門家への個別相談を行ってください。

寺院法務・宗教法人法務においては、早期のご相談がトラブルを未然に防ぎ、貴山の尊厳を守ることにつながります。

帆風法律事務所:寺院法務・宗教法人法務特設ページ

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(帆風法律事務所 弁護士 吉住豪起)

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